OTHER

□生意気キャッチャー
1ページ/1ページ

今日は珍しく二人の休みが重なって、俺は隆也の家でのんびりしている。
といっても隆也は野球関連の雑誌ばっかり見て、俺の方は見向きもしない。
携帯を弄るのにも飽きてしまった。
「隆也ー」
雑誌を読んでいる隆也に後ろから抱き付く。
相変わらず小さい。
そして細い。
正直、よくこの体格で捕手やってるよなぁと思う。
ホームインしてくる奴が自分の一回りも二回りもデカいって事だって普通にある筈だ。
――まぁこいつはそんな事怖がんねぇだろうけど。
何てったって俺の本気の球取れるようになった奴だし。
わしわしと頭を撫でてやる。
「……何スか」
そう言って隆也は雑誌を置いて振り返った。
「や、お前小せぇなーって」
俺の言葉に隆也は眉をぴくりと動かせる。
「未だ成長期ですから。その内元希さんも抜かしますよ」
何時もよりも妙に棘棘した言い方で、どうやら気にしていたらしい。
「別に悪く言ってねぇじゃん。つーか小せぇ方が可愛いし」
俺がそう言うと隆也は一瞬にして真っ赤になった。
「そんなん男が言われても嬉しくねぇしっ……!」
「照れんなよ」
「照れてなんか、」
放っておくと文句を言い続けそうな隆也の唇を塞いだ。
俺の不意打ちに驚いて開かれた口内に遠慮なく舌を入れる。
暫く堪能した後に放してやったら、隆也は前より赤くなっていた。
「何ですかいきなり……!」
「何となく、したかったから」
良いじゃねぇか、恋人なんだから。
俺の言葉に隆也は思いっきり溜め息を吐いて、そっぽを向いた。
あいつなりの照れ隠しっていうのは良く分かってるけど、もっと俺に懐いたって良いだろ。
「隆也、こっち向けって」
「……」
「隆也!」
「……耳元で大声出さないで下さい」
――うっわ、生意気。
かちんと来た俺は隆也をそのまま押し倒してやった。
体格差があるから楽に押し倒せる。
今更慌てだした隆也に笑い掛けて、俺は首筋に口付けた。
投手をシカトした捕手にお仕置きだ。












[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ