Novel

□rain U
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「よく降りますねぇ」

ぼんやりと窓の外を眺めながらセナが呟いた
俺はあいつを見る事なく
「糞欝陶しい」
と吐き捨てた
練習ができなくなる上に湿度のせいで苛つく

……嘘だ
苛つくのは湿気のせいじゃない

「蛭魔さん雨は嫌いですか?」
相変わらず窓の外を眺めながら聞いてくる

「…好きじゃねぇな」
前は天気なんざ好きも嫌いもなかった
生きていく中で晴れだろうが雨が降ろうがたいして支障がでるものでもなかった

「僕は結構好きですよ」

その言葉を聞いた時、一瞬俺の体が強張るのがかわる
「…好きなのか?」
全神経でセナの言葉の意味を探ろうとパソコンから目を離しセナを見つめる
見つめるというよりは射ぬくと言った方が正しいかもしれない

セナは俺のそんな感情を感じ取ったらしく何か言葉を選びながら思いを伝えてくる

「えっと、何て言ったらいいのかわからないんですけど…僕にとってアメフトの始まりだから」

そう言うとまた窓の外に視線を向けて何かを想い耽るように黙り込んだ

その目にはいま何が映ってるんだ…?
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