Novel

□【雨と散歩と】
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夏の終わりの雨は降るごとに秋に近づくと聞いたことがある

【雨と散歩と】


「ふぅ、ジャスト1時間!!」

僕は最近、夜にランニングをするようになった。
いつも朝錬でも走るけど、試合に勝ち進むにつれて夜に落ち着かない日が増えてきて、気を紛らわせるために始めた。
だけど始めてみると思っていたよりも楽しかった。
部活の時は心も体も引き締まった気持ちで真剣に走っている。
でも夜のランニングはそういうのではなくて、ただ気の向くまま好きなペースで走ってみたり少し歩いてみたり…。
ランニングっていうより夜の散歩をしている感覚で、本当にいい気分転換になって今ではこの時間がとても楽しみになった。

「お前らしい気分転換だな」

「そうですか?」

「あぁ。走る以外なーんにも思いつかない走り馬鹿らしい」

「ひっ酷い!!蛭魔さん」

「ケケケッ」


――ザアァァァァァァ…――

「うわっ!冷たい!!」

「糞!!今日は降らないんじゃなかったのか?」

学校の帰り道、いつものようにそんな話をいたら急に雨が降り出してきた。

「最近の天気予報って当てにならないですねー…」

「ああ…」

すぐ近くにあったコンビニで雨宿りをしながらやみそうにない空を見上げた。
ふと、蛭魔さんの方を見ると蛭魔さんは何か考えているようだった。

「蛭魔さん?どうしたんですか?」

「セナ。雨の日の夜は出歩くな」

「え?」

「わかったな」

「え、どうして?」

「雨ってのは何もかも全部消しちまうだろうが」

「??何をですか…?」

「分からねぇなら別にいい。とにかく、雨の日は禁止だからな」

雨の話をしていたのに、なぜいきなりそんな話になるのかわからず蛭魔さんを見上げると「危ないって事だ」って言いながら止む気配のない雨をしのぐ為の傘を買いにレジに行ってしまった。

(何が危ないんだろう…?)
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