Vongola.


□無言は肯定の意
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「どうしました、雲雀恭弥」

「ん…」

 彼はぴくりと眉尻が反応する。

 相変わらずつれない人だ。

「こちらを向いてくれませんか、雲雀恭弥」

「六道、骸…」

 ゆっくりした動作でようやく向いてくれた。

 おやおや、何を嫌がっているのでしょうかね。

「何でしょう?」

 にっこりと笑みながら僕は問い掛けた。

 それが彼の気に触ったのか、表情がみるみるうちに変わっていく。

「どうしました?」

「……なせ…」

「はい?」

「離せって言ってるのがわからないの?」

 むっとした表情がなんと可愛らしいことか。

「トンファーはしまって下さい」

 ひっそりと握られていたトンファーがキラリとこちらを見ている。

「離れるならしまうよ」

「仕方ありませんね」

 僕はしぶしぶと彼から離れた。

 すると、トンファーは彼の何処かに消え失せた。

 あんなもの、何処にしまっているんでしょうかね。

「そんなに人が気になりますか?」

 事実、ここは並盛中の応接室ではあるが、人の目が入る場所でもある。

「関係ないよ」

「じゃあいいじゃないですか」

「良くない!第一、何で君がここにいるの」

「おや、いけませんか?」

 思わず不敵に笑みを浮かべてしまう。

 それが彼の気を逆撫でしてしまったようだ。

「咬み殺すよ」

「今は遠慮します」

 トンファーを振り上げる雲雀恭弥は何と可愛らしく弱い草食動物なのでしょうか。

 こんなことを彼に言えば僕の身の安全が保証されませんね。

 口が裂けても言わないようにしなければ。
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