お話の部屋

□猫
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「なのこ、何処にいるんだでてこい」
ああまた彼が私を探してる…このまま猫になって逃げてしまおう…。





私は彼が恐い…何を考えているのかわからない……何故私に近づいてくるのかわからない…
夢中で逃げているうちに迷ってしまった…
「どうしよう…」
そんなつぶやきも今は
「にゃぁ…」
という鳴き声にしかならない。
「ん…?猫か迷いこんだのかな?」
ビクッとしたよりによって逃げる相手に会ってしまうなんて…。じり…と半歩後ろにさがる。
「…僕が恐いのかな…それともお腹空いてる?きょひょっ。ちょっと待ってて何か探してくるから」
そのまま逃げてもいいのに何故か私は彼を待っていた「おまたせ!」
少しすると彼はお皿にミルクを入れてもってきた。
「飲みなよ、べつに毒なんか入っていないよひょひょひょっ」
私は恐る恐るそれを飲んだ甘くておいしい…。
そう思った次の瞬間彼の手が私の頭を撫でていた。
「君は可愛いね…僕の好きな子ににているな…」
ピク…と私の耳がうごいた…
「いつも話をしようとすると逃げられるんだ」
私の頭を撫でながら言う。「今日もねその娘に君が好きだから話をしたいから逃げないでって言おうとしたんだけどね」
結局逃げられた、と言いながら少し哀しそうに笑った…。
私はなんだか胸がチクリ…と痛んだ…ああ私は彼をこんなに傷つけていたんだ…そのくせ、彼を好きになっていたんだ…。
「でも僕は諦めないよ、その娘が大好きだからね」
「…ホントに?私のこと、好き?」
私は思わず変身を解いて彼に問い掛けていた。
「な…のこ?勿論…勿論大好きだよ!」
変身に戸惑いつつも私の質問に答えてくれた。
「ありがとう…私も極卒さんのこと大好きだよ」
そう言って彼に抱きつくと優しく抱き返してくれた
『あったかい…とても優しい感触がする…』
そう思いながら私は目をつむった…。
この時がずっとつづけばいいのに…。
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