the truth

□第1夜
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アルファリシア家は昔から地位と権力、聡明さに駆け、表舞台では多くの人々に指示されている名家だった。


その名をとって付けられた国名、アルファリシア王国。
民の生活は富み、法律もしっかりと整えられ、平和な時が流れていた。


しかしある日、国は一夜にして滅びた。
そのニュースは世界各地に瞬く間に広がり、世界は混乱に包まれた。
アルファリシア王国を壊滅させた人物の手掛かりは一切掴めず、気付けばあれだけ騒がれた名家壊滅の真相は闇に包まれ、人々の記憶から段々と薄れていった。


























━━━━数年後━━━━









『さて、どうしようかな』


ルベリアは胸下まで伸びる黒髪を風に靡(なび)かせながら、ヨークシンシティをぶらぶらと歩いていた。


『なんか…暇だな』


暗殺、護衛、天空闘技場、懸賞金稼ぎとただひたすらに繰り返したのはいいが、刺激のない毎日に物足りなさを感じ始めていた。




━━━ピピッ




ポケットの中の携帯が鳴り、規則的な振動を与えてきたためゴソゴソと取り出す。


『…またライトかよ…しかも今夜?』


ハァと溜め息を付くと依頼内容に肩を落とす。
普段ならパソコンで確認したりするのだが、外出は手軽な方が楽なので持ち歩かない。
ただいつでも依頼が受けれるよう、家のパソコンにメールが届くと携帯に転送される設定にしてある。

まぁどうせ暇だしと背伸びをすると一度家に向かった。








ルベリアの家は此処から5分ほどでつく、ヨークシン一等地。
バカでかいマンションの36階角部屋。
50階程まであるマンションだが、上の階は夏に陽の光を吸収すると暑いし、下の階は物騒だし何となく人の下に住むのは嫌だと言うことでこの階にしたんだとか。

家につくと髪の毛を綺麗にまとめ上げかつらを被る。
胸にさらしを巻きその上からシワ一つないシャツを羽織ると黒のスーツを着る。
ベルトには何本かのナイフを忍ばせ、胸ポケットには白いハンカチを仕舞うと大きな鏡の前に立った。
手にワックスをつけ髪の毛を少し遊ばせると口元に弧を浮かべる。


『…我ながらイケてるな』


鏡には20代くらいの若々しい男性、ではなくルベリアの姿。
何でも仕事を始めたばかりの頃は女だと嘗められて仕事が少なかったため、仕事の時はいつも男装する癖が付いたらしい。
その時ライセンスを持っていなかったこともあるが、それにしても少なかった。
女性でも名を上げている人はいるが、信頼を得るには時間がかかる。
その過程が面倒くさかったのだとか。

ちなみに女だとバレないように空想の人物を作り出し、書類など全て偽造した上で男装しライセンスを取得。
その後男として仕事を始めたら、依頼が何10倍にも増えたらしい。

そして男装中は、ジーク=マルベルトで通している。

ッフと笑うと、デスクの上にある腕時計をし、綺麗に磨かれた革靴を履き玄関に置いてある鍵を持つと家を出た。
目的地は依頼主のライトの屋敷。







欠伸をしながら歩いていると道行く女性は皆振り替える。
1分ほど歩いた所にこのマンションの駐車場があり、自分が借りている番号の所へ向かうと運転席へ乗り込んだ。


『そろそろ洗車してやらないとな』


そう言うと寄り道をするためガソリンスタンドへと車を向かわせるのだった。









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