CLAP

□入隊式
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視線の先にはいつも…



◇◆◇





入隊して間もない私だからこそ、この想いを憧れだと思われても仕方無い。
勿論その思いも否定はしない。
それでもあの日、あの瞬間から
私の視線の先にはいつも貴方が映る。




入隊式の日、隊別の式の部屋で待ってる間、緊張で押し潰されそうだった。
そして入ってきた隊長と副隊長。
隊長は私より背も低く、幼さが残る顔立ちなのに…
背中を丸める事無く、凛とした出立ち。
光を纏いキラキラ光る銀髪。
隊員から絶大な信頼を集める強い意思。


そして…
私と同じ翠色の瞳。
まるで宝石のように澄んでいて、とても同じ色とは言えない位に。



一瞬重なった視線。
逸らす事の出来ない鋭さ…
「ねぇっ、今隊長と目合っちゃった!」
「違うわよ、私を見たのよ!」




隣りの女の子の声で我に返り、思い違いと恥ずかしさで俯く。
自分と目が合ったなんて…
気のせいかもしれない否、気のせいに決まってる。
多くの新入隊員のうちの一人だもの。
期待してしまった自分が恥ずかしい。




貴方のような完璧な人の近くに届くのは?
貴方に認めてもらえるようになるのは?




貴方の視線の先に確実に私が映るようになるのはいつになるだろう?



ずっと、ずっと先になろうと
必ず貴方の傍に辿り着けるように
新たな一歩を踏み出す。




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