CLAP

□白猫親子
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冷たい風が吹き流れ、
カサカサ木の葉が音色を奏で、
ポカポカ陽の光が体を照らす。


「…さてと。」


十番隊隊舎の屋根の上から
白い羽織の少年が、
キョロキョロ辺りを見回してゆく。



「おっ!!」


キラキラ光る翠の瞳を
より一層輝かせ、
見付けたある場所へと一っ跳び。


フワリと降り立つその場所は、
一面その少年の瞳のような緑の芝生。
ポカポカお日様が温める自然のベッド。


「…ふう。」


ゆっくり一息おきながら、
その場へと腰を下ろす。


「にぁ…」



寝転がろうとした瞬間に、
不思議な音だか声だかが聞こえる。
その方向に目を向けてやれば
草薮から姿を表したのは、

少年の分身のような銀色の毛並みと、翠の円い瞳を持つ子猫。


「何だ…此処はお前の寝床か?」
「にゃぁ。」


独り言に等しい問い掛けに反応するかのような鳴き声に、思わず笑みが零れる。


「ちょっとだけ失礼するぜ?」



ゴロリと最も暖かい場所に寝転がると、
その子猫も腹の辺りで丸くなる。
まるで親猫に甘えるように。







「乱菊さーん、居ましたよ!」
「あっ、本当…ぷっ…」


昼休みが終わっても帰ってこないなんて珍しい隊長を探しに来ていた副隊長と三席。


「何か可愛い…」
「まっ、今日位は隊長にも楽させてあげましょ!」


微笑ましい1人と1匹を置いて
静かに、ゆっくり、その場を去る。


ポカポカ陽の光で温める。
カサカサ木の葉が音を奏で、
小鳥の囀りが子守唄を歌う。


どんな夢を見ているのか…
穏やかに微笑を見せる
何時も仏頂面の隊長の疲れをいやすかのように。

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