CLAP
□夏の思い出
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最近ずっと同じ夢を見る。
銀髪
翡翠色の瞳
真っ黒の着物
そんな奇抜な容姿を持つ…
綺麗な男の子………。
―…悪い…目が覚めれば…全て忘れる―
アナタは一体…誰??
目を開けると見慣れた自分の家のいつも通りの天井。
必ず同じところで目が覚める。
これは何?
ただの夢?
…それとも……
「痛っ!!!」
この夢を見始めてから必ず痛む右肩…
「そーいえば中学二年の冬にぶつけたんだっけ?」
この頃の記憶も曖昧で良く思い出せない。
痛む右肩を押さえながら体をゆっくりと起こすと、身体中汗をかいていて少し気持ち悪い。
「…ってゆーか…今日も朝から暑いなぁ…。」
時計を覗き込むと針は7の時を刻んだばかりで
目覚まし代わりにセミの鳴き声が響き渡る。
「折角の休みなのに…何でこんな朝っぱらから元気に鳴くかなぁ…。」
昨晩も残った仕事を家に持ち帰りただでさえ徹夜が続いて余り取っていない睡眠時間。
少しでも足しにしようと再び寝転がるも、一度冴えてしまった瞳と暑さで夢の中へは辿り着けず仕方無く活動を始めるために重い身体を持ち上げる。
「…これだから夏って嫌い…。」
溜め息をつきながら冷蔵庫を開けるは入っているのは缶ビールと調味料のみ。
「…はあ〜〜〜〜。
朝ご飯どうしよう…。」
『これだから一人暮らしって困るわぁ』と独り言を溜め息混じりに吐き出すと、シャワーを軽く浴びて近くのコンビニへ行く仕度を手早く済ませた。
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