Comic

□SLAYERS
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走る。走る。
回りは何処も真っ暗で、遥か前方にただ一つだけ、私の元を歩き去っていく人影がいた

少女はその人影を追いかける
いやだ、いやだ

でも、走っても走っても追いつけない

いやだ、行かないで





不意に少女の腕を誰かが掴んだ
「―っ」

とっさに振り向いて、そして私は動く事なく停止した
遥か前方を行く彼の元へと走る事も無く、そして、私を掴んだ手を振り払う事もせず

振り払うなんて、出来ない
手を掴んだのは、愛する父と愛する民

カツンと音がした

歩く人影は、もう追いつけない程に遠ざかっていた

私は届く筈も無いのに、そちらに向かって手を伸ばす
ただ、手を伸ばし、その小さな影を、掴むように

「―……」







夢は、そこで終わった




薄く目を開ける。ふわふわのベットの中、目には少しうろたえている彼の姿が映った

「…アメリア」
「ゼルガディス…さん?」

「泣いているのか…?」

その時、自分の頬が濡れているのに気が付いた

「…あれ?泣いてるみたいですね」

私の間の抜けた言葉に彼は眉を寄せた
心配してくれたのだろうか。もしそうなら、嬉しい
 
「…あまりに遅いんで呼びに来た。リナ達が待ってる」






私から顔を背けて戸口へと歩む彼に不意に不安になる

まるで夢の中の様で

ベットから這い出さずにその場で彼に向かって手を伸ばす

駄目だ。やっぱり届かない

しかし、彼は夢と違って振り向いた
私の伸ばした手は、それに気付いた彼の手が握り返す

その行為に心臓が跳ねる


「…何をしてるんだ?アメリア、今日のお前ちょっとおかしいぞ」

「…ゼルガディスさん」
「…なんだ?」
「抱き付いても良いですか?」
「…な」

その言葉を聞いた途端慌てる彼に、私はおかしくて笑い出した






お願いスィーフィード

きっと…いずれ、私と彼の道は交わらなくなるけれど
けどせめて今だけ、今だけは


今だけは彼と共にいて良いですか?


.
――


本当に書きたかった話と大きくそれちゃったお話
そして私が書くとルカイリに見える不思議←
書きたかった文はまた別の機会に書こうかと

.
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