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□黄昏の時間
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「今日はしいなが料理当番かー」
荷物から調理器具を取り出していた所に、後ろからロイドが声をかける。
夕暮れ時の、もうすぐ太陽が沈んで夜の闇が支配する頃。あたしは手を止めてロイドへと顔を向けた。
「しいなの料理旨いからさ、すっげー楽しみだぜ」
彼がそう言って去るもんだから、あたしの頬は瞬時に朱に染まった。
「………」
そんな顔をニヤニヤ顔で見る奴が来た瞬間、萎えてしまったが…

「この…ゼロス!」
あたしのアッパーは見事にゼロスの顎にヒットした。







「いってーなぁ、女の子なら可愛く『やだぁゼロス君ったらぁー』って軽くはたく程度にしろよなー」
「あはは、殴るよ」
「目が笑って無いですしいなさん…」

コイツは…
どんな時でも変わらない、相変わらずのこの態度。
どうにかならないもんかねぇ…
ため息をついたあたしを余所にゼロスは心地良い風を受けて目を細める。
「へぇ…見ろよしいな。この木、楓の木みたいだぞ」
そう言ってニヤけたゼロスの先には若々と茂る一本の大樹があった。

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