Game
□Rain.
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(泣き声……？)
青年は降り止まぬ雨にうんざりとしながら、自然と目は声の主を探した。
「あ…」
声の主は長き髪を、傘もささずに雨に濡らし佇む女性。
(不思議な…感じだな…)
それが彼女がとても美しかったからなのか、それとも彼女が人にして人ではないモノだったからは分からなかった。
それとも、只青年は雨に濡れて可哀相だったからという理由かもしれない。
青年は彼女へ足を向ける。
「大丈夫ですか…？」
ふわりと頭上に灰色が見えたと思うとそれは傘へと姿を変える。
『誰…ぁな…た…【見える】の…？』
「へ…？何がですか？」
きょとりとした顔をして青年は彼女を覗き込む。
その顔を見て彼女は息をのんだ。
―【あの人】の顔だ。
過去の悪夢と屈辱が走馬灯のように駆け巡り、彼女の心に憎悪が生まれる。
―…!!
「ぃだっ!!…なんだろ…寝不足かな…
それより…あの…大丈夫ですか？……傘使います？
ああ、僕の事なら気にせずに。家近いんですよ」
ポリポリと、頬を掻きながら心底心配している青年に、彼女は違和感を覚える。
―…違う…人…？
「あれ…頭痛治った…？
取りあえず…えー…これ使って下さい」
ずずいと出される傘。女は少し驚き、しかしすぐに笑みの形へと変わる。
知らないとはいえ、貴方は今死ぬ所だったのよ。
『遠慮…しと…くわ…』
「ぇ…でも…」
何故かおろおろし始めた青年をちらりと見る。
―本当に【似て】いる…
―でも全然【違う】…
どくん…と…きた。
それは恋かと錯覚させられるような…切ない何か。
けど…これは、
恋ではなく、
愛でもなく、
喜びでもなく、
だからと言って憎しみでもなく、
嗚呼…私はそこまで執着するほど【彼】が好きだったのかと…
憎しみも消え…愛も消え…残ったのが何の意味も持たない【執着心】だとは。
自虐の笑みが漏れた。
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