shousetuokiba
□こそどろサンタのノンスノーリー・クリスマス
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――お前は“事件”という概念に愛されてしまった。
父が私に残した最後の言葉は、私への死刑宣告に等しかった。
事件に巻き込まれ続けるということ。
完全な日常から不完全な非日常へとシフトしていく私に、私自身が耐えきれなくなってしまうということ。
地獄だと分かった私の世界に、垂れたクモの糸は父が残した“連絡先”だった。
もし事件が起きたら、この探偵達の中から適切な探偵を選んで解決してもらいなさい。
その紙にはそんな文句と共に、これから私が逢うだろう事件がこの先10年までびっしりと書かれていたのだ。
12月20日。
父の予言通り、私はクラスメイトから相談を持ちかけられた。
「家の近くの河原にいるホームレスが、クリスマスに何かしでかすっていってたんだけど――」
私は予定調和のように、その言葉に返事を返す。
「あ、それなら暇そうな探偵さんがいたら頼んでみるよ。そうだな、今は冬だから――名前的にあの探偵事務所とかかな?」
心の中ではこう思ってるということも、折角だから最初に明かしておく。
“ホントは、自分で解決できたら一番なんだろうけどなぁ”。
――まあ、それは今回の話とは、なんにも関係ないんだけれど。
時間は少し飛んで、クリスマスも過ぎた頃。
しばらくサンタの欠片すら見えないこのお話は、その辺りからさっと始めよう。