今日僕

□第四話
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眼を開けて、もう一度閉じた。

あの日の続きはまだあるのだから。
全部、全て思い出すんだ。




――あの日以来、僕は
  彼女のことで頭がいっぱいだ―

(あー。今どうしてんのかな〜。)
ドキドキ、ドキドキ心臓を高鳴らせながらテストの為に勉強をしている。
が、勉強などはかどるはずもない。

(うわぁー。どーしたんだ!!
 どーした!!!!オレ!!!!)

この時、僕の頭からはハートでも飛び散っていそうだった。

―パンッ

静かに鳴り響く乾いた音。
それは、僕の手が僕の頬をたたく音。
ひりひり・・・・。
じんわりとした痛みで歯をきゅっとかみしめた。
そして、顔を引き締めもう一度勉強をするため机に向かう。

(よし!!)

やる気が出てきた。
……と思ったが。
ふと視線が別の方へ行くと

(ん?)

置いてあるのはアノ!!!
あの消しゴムだ。
――!!!

また思い出してしまった。
『どうぞ』
っと言ったあの笑顔。
反則だって・・・あれは。

(やばっ。)

心臓の高鳴りが鳴りやまない。
鳴りやむ様子もない。

(どーした?)

どーしたんだよ!!オレ
誰か、俺を助けてくれ!!!!!!
HELP MEーーーッ




……あんなこんなで、一夜が明けてしまい。
次の日になりました。

「いってきまぁーす」

結局、あんな俺は勉強も出来なければ寝ることすらできなかった。
そのせいで、やばい顔だ。

「うわぁー。
 クマ酷いね!!」

隣を通っていく同級の女子が僕に向って言う。
その通りだよ。
クマが・・・やばい。
序でに、顔が青い。
それでも、

「お!!健ちゃんっ オハヨ」

ハートが付きそうな語尾に一瞬ギョッとし振り向くと、友達のA君が挨拶をしてきたそうだ。
はっきり言うと、今話かけんじゃねー!!
っと思ってはいたが、とりあえずは

「おはよ」

挨拶を返しておいた。

―あぁー。僕は、俺はいったい・・・
 どうしたんだー!!!―


「健……ちゃん?」
頭がくらくらする。
その頭でこの声が誰かを予想する。
・・・・・この声って、
躊躇い気味に言った君の声で目が覚めた。
振り向くと、

「健ちゃんって、言うんだね!」

やっぱり、君だ。
今度は笑顔じゃなくて驚いた感じで言った。
少し、恥ずかしそうにしながら。



もしかしたら、本当の始まりはここかもしれない。


僕らの淡く、切ない


恋物語の始まりは―
 

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