海南
□気まぐれcat
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あだ名は「ネコ」。
私のきりっとした容姿、人を寄せ付けない怜悧な雰囲気が猫みたいだから。
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「んんっ。」
吸い込まれそうなくらい青い青い空の下、気持ちの良い陽気に伸びをした。
猫は気ままに生きるもの。
暖かくて天気のいい日は授業をさぼるのは当たり前。
教室にいたって先生のつまらない抗議を聞かなくちゃいけないだけだし、だったらこうやってるほうが楽。
眠気に襲われ、うつらうつらしていると、扉の開いた音がした。
「授業さぼるなよ。」
(げっ。先生?!)
急いで起き上がり後ろを振り向くと、ゆらりと動く巨体。その顔は何処か誇らしげ。
「なーんだ、先生かと思うじゃん。やめてよ。」
「む…それは俺が老けてるってことか。」
「違うよ。」
前を向きなおして座る私の横にのっそりと座ってきた。
ぼーっと空を見上げていると、胡坐をし、両手を後ろについて空を見上げる彼の姿。
「牧。」
「なんだ?」
「授業さぼっていいの?」
「おまえが言えるセリフか?」
「まぁね。優等生なのに珍しいね。」
「優等生?!俺はそんなんじゃないぞ。これでも一男子校生だ。」
「そりゃ、失礼。」
あぁ、隣に人がいるって安心。
いつも人を寄せ付けないようにしてたからな…
私はきつきつの教室から逃げたくて、度々授業をさぼるんだと思う。
「ねぇ。」
「ん?」
「本当に戻らないと…」
「じゃあ、おまえもだろう?」
「私はいーの、猫だから。自由にするだけ。」
「それなら、尚更一人にはできないな。」
「え…?」
「猫は寂しがり屋だから、傍にいてやらないと。」
「なっ。」
「平気なふりをして実は寂しがってる。だけど、それをうまく表現できない。それが猫。」
心地よい風が二人を通り抜けた。
「俺じゃ駄目か?」
「何それ…告白…??」
「一応そのつもりなんだがな…」
「私、気紛れだから牧を置いてっちゃうかもよ。」
「かまわない。俺が追い掛ける。」
牧の真剣な瞳にくらっとしてしまった。
気紛れな私についてきてね──…
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