海南
□香りに酔う
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彼女がわしゃわしゃとタオルで髪を拭きながら、部屋に入ってきた。
その瞬間、心地よい石けんのほのかな香りが鼻をかすめる。
ハーパンを履き、Tシャツを羽織るいつも見かける姿が、湯上がりだと何故だか色っぽい。
「やだー。何、にやけてんの?」
眉毛をしかめて指摘されてしまった。
どうやらに顔がほころんでしまっていたようだ。
おいでおいでと手招きをし、近付く彼女を引き寄せ、腕の中へ収める。
突然の出来事に彼女はじたばたと抵抗するが、俺の力には適わないと理解したようで、すぐにおとなしくなった。
「いい香りだ。」
「まだ髪乾いてないよ!牧の服、濡れちゃう!!」
「かまわんさ。」
「私がよくない!」
「ほう。」
照れてる姿があまりにも愛らしくて、意地悪心が湧いてしまうのが俺の悪いとこだな。
首筋の後ろをさすってやると、びくりと身体を強ばらせたので、そのまま首筋に顔を埋めてやる。
先程よりも更に身体がびくりと跳ねた。
「ぃ…ゃ、ちょっ。」
離してやらない。
君の香りに包まれ、溺れる─────……
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