海南

□先輩の悩み事
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俺は清田信長!

我が海南バスケ部が誇るスーパールーキーだっ!

そこ!自称だろ。って言うな!実力だ、実力。



そんな俺にはすごく尊敬している先輩がいる。

神奈川MVPにも選ばれるすげぇ先輩だっ!!

だが、その先輩が最近おかしい。

部活中にらしくないミスを連発するわ、何やら上の空だったり…

もしかして具合でも悪いのか?!
それとも重大な悩みでもあるとか…

どちらにしろ、尊敬する先輩の一大事だ。
俺がなんとかしてやりたい!









まずは何に悩んでいるのかを探さないといけない。

というわけで牧さんを観察中だ。




「…。」

「…ぶ。」

「のぶ!!」





「ぁっ!」


振り返れば神さんが意味深な顔をしていた。


「何してんのさ?ここは3年生の棟だよ。しかも牧さんの教室前…」

「あ…いや…。」

「用あるなら一緒に行こうか?」

「用はないっす!」

「じゃあ、なんでいるのかなぁ?」


ヴ…なんてゆーか、無言のプレッシャー…
仕方ない。神さんには言っておこう。


「実はすっね、最近の牧さんはおかしいなと思って偵察を…」

「なるほどね。たしかに牧さんおかしいけど、放っておけば大丈夫。大体の原因は分かってるからね。」


えぇっ!なんてこった!
毎日偵察をしている俺より神さんのほうが分かるなんて…


「神さん、そのー…原因てのは。」

「んー。」

「はぐらかさないで教えてくださいよ。」

「もう少ししたらね。2人の邪魔をしたくないからさ。」

「2人?」


ハテナが浮かぶ俺の頭。
神さんはニコニコ笑って「そのうちね。」と言うだけで何も教えてくれなかった。






「のぶー。早く戻らないといくら鈍感な牧さんでも気付くよ。
頭に鉄拳は嫌でしょ?」

「当たり前っすよ!待ってください神さーん!!」







それから数日後、コートの隅でハンドボール部の女子と話している牧さんの姿にやっと気付かされたんだ。
いつもは見せない穏やかな表情。
色恋沙汰には疎い俺だが、この光景を見ているだけで分かっちまった。


牧さんはこの人のことが好きなんだ───……










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