Gift 執筆

□嫉妬=大きな愛
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さっきから、私をちらちら見てくる紳一くん。
どうしたのかなぁ?私の顔に何か付いてる?



「なぁ。」

「ん?」


おもむろに私の膝の上を指差す。
どうやら、そわそわの原因は私の膝の上にいる愛犬のマルチーズらしい。

安心しきった様子で、スヤスヤとお休み中。



「可愛いでしょ?」

「確かに可愛いんだが…」

「変な紳一。」



眠っている愛犬を撫でようとすると、横から浅黒い手が伸びてきて、ぎゅっと腕をつかまれた。


「な、何よ?」


紳一は私を見つめたまま、その手を離そうとしない。


「い、痛いっ!!!」


ぎゅうぎゅうと締め付けられる腕。
たまらず、思いっきり振り払ってしまった。



「悪い…。考え事をしてた。」

「はぁ?」



何よ、考え事って…今日の紳一はどこかおかしい。



今度は犬を見ていると思ったら、いきなり変なことを言い出した。


「俺が犬だったら、そいつみたいにしてくれるか?」
「紳一が犬?!明か大型犬でしょ。無理無理、乗っからないって。」

「大型犬でも頭は乗るぞ。」



「あの〜…」

「なんだ?」

「先程よりも近づいてきているのはなぜでしょう?」

「気のせいだろ。」



いやっ、近づいてるって!!引き気味に体を動かすと、その反動で愛犬が起きてしまったようだ。



「クゥン」

「よしよし、ごめんね〜。起こしちゃったね。
ほらっ、紳一が意味分からないことするから、起きちゃったじゃない。」


優しく頭を撫でて、落ち着かせるためにキスも一つ。


「それは俺専用だ。」

ぼそりと呟き、犬を必死に睨み付けている。




はっはーん…。
やっと分かったわ。


「もしかして嫉妬してるの??紳一くん?」


「なわけないだろ。犬に?!大人気ない!!」


表情は変わってなくても、慌ててるのが分かる。いきなり口調が早くなったから。


素直になればいいのに…
ふふっ面白い。

「なんだ。何がおかしい?」

「なんでもないよっ。」



愛犬を抱き上げ、座布団のうえへ乗せた。

「ごめんね。ちょっとここで寝ててね。」

また元の場所へ座り、今度はご機嫌斜めなわんちゃんを呼ぶ。

「ほら。紳一くん、お膝空いたよ。
なでなでしてあげるからおいでっ!」

膝をぽんぽん叩いて、待ち構える。
しかたないな。なーんて言いつつ、大きな体をおずおずと動かす紳一は可愛らしい。

膝に乗った頭をわしゃわしゃと撫でる。日焼けして茶色くなった髪の毛は男子の髪にしては柔らかい。やっぱし大型犬だね。

「膝枕どうですか、紳一くん?」

「うるさい。」

あらあら、そんなこと言っちゃって、耳は真っ赤になってるのバレバレだよ。






私の大きなわんちゃん。
あなたのことが大好きです。








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