海南

□新しい音
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机の目の前には無残にもぐちゃぐちゃに開けられたチョコレート。

そのチョコレートを一心不乱に食べてる私。

もうやけくそ!!

お腹がいっぱいになればこのむしゃくしゃした気持ちも納まるかもしれない…



「男がなんだってのよ!!」



そうなのだ。
先ほど思いを寄せていた男子にフラれた。
もうそりゃ、キッパリぽっきりと…



「うまそうだな。」


伸びて来た手にチョコレートが一粒取られ、その人物の口へ運ばれた。


「うまい。
こんなにうまいチョコあげないなんてもったいないぞ。」


「フラれたのっ!!
牧くんには関係ないでしょー。モテモテでたくさんのチョコ貰えるんでしょうからねぇ。」


ははっ、と苦笑いしてらっ。まったく…"モテる男は辛いよ"ってか。


「これ、もらっていいか?」

「どうぞどうぞ。お食べ下さい。」

牧はぐちゃぐちゃになった包みを大事に手に取ってカバンにしまい込む。




牧が教室から出ようとして
「俺は好きな奴からのじゃないと、貰わないし食わん。」

と告げると、勢いよく駆け出した。




パンッ

新しい恋の音。



─・─・─・─・─・─・


「新しいの作ってきたんだけど…
いる?」

「もちろんもらう。」





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