海南

□安らかな心
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「あ・さ・だ・よ!」

勢い良く大男の体を覆っている布団を引き剥がす。

布団から現れた姿は、足を抱え込んで小さく丸まっている。なんて愛らしい…


気だるそうに、よいしょっと体を起こすと、私の手から布団を奪い返した。


「せっかくの休みなんだ。寝かせてくれ…」ぐぅ。


奪い返した布団を芋虫のように被り、床につく。
牧はそのまま夢の中へ…


「せっかくの休みなんだから、かまってよぉ。」

力なくぼそりとぼやくが、声は届いていない。


確かにいつも部活で牧が頑張ってて、疲れているのは分かっているんだけど…
いつもかまってもらえない分、こういう時にかまってほしいんだけどな。


はぁ。とため息を吐き、何をするわけでもなく、ベッドの端に腰を下ろす。


すうすうとイビキを立て、寝ている牧を覗き込んでみると、いつも神奈川の帝王って肩書きを背負っているような面影をも感じない、とても穏やかな寝顔。

他の人には決して見せない姿を見られるのも彼女の特権なんだし…ま、いっか。

にしても、気持ち良さそうに寝るなぁ。
牧の寝顔を見てたら、私まで眠くなってきちゃったよ。牧につられて、こっくりこっくり…







あれ。私、いつの間にか寝ちゃったんだ…

体を起こそうとすると、動けない。私の体に牧の腕が巻き付いてる。

「…///!!」

ふいに横を向くと、目の前に牧の顔。


ち、近い……


私が寝ている間に、牧が布団の中に引きずり込んだんだろう。
してやられた。

まぁ、いっか。もう少し一緒に寝るのも悪くない。



牧の唇にそっと触れるキスを落として、牧の体温と匂いにつつまれ、素敵な夢を見ることにしよう。



もちろん、牧と一緒のねっ。







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