海南

□男のロマン
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映画館にやってきた。

私達の周りの席は子供とその保護者ばっかり。
その中に、こんなデッカイ人がいるなんて…端から見てたら、可笑しすぎる。

隣に座っている人物はまだかまだかと目をキラキラさせている。まるで子供だ…



事の発端は、紳一が映画を見たいって言いだしたから行くことになったんだけど、実はその見たい映画ってのが「ドラ〇もん」…

聞いた瞬間、「おいっ!!」って突っ込みたくなったわ。
けど、その時の紳一はいたって真面目。いや、大真面目。
真剣な瞳にぐっときちゃって、思わず断れなくて…




で、今に至る。

わくわくしている紳一が、映画が始まるまでの広告の最中、「ドラ〇もんはなぁ、男のロマンなんだ…」隣で何やら熱弁してる。
私はとりあえず相づちだけうって、必死にポップコーンを頬張る。

シャクシャクシャク…

「美味そうだな。」

喋り疲れたのか、私のポップコーンに手を出してきた。

ぺちっと手の平を叩いて、紳一の手を阻止すると、観念したようにしばらくおとなしくしていたが、私がポップコーンを掴んだ瞬間、腕を掴まれ、自分の口元まで持っていくと、パクリとポップコーンを食べた。 その拍子に指が唇に当たった感覚が伝わり、慌てて腕を離す。

横に目をやると、スクリーンの明かりに照らされて、にやっとしている紳一の表情が見て取れた。


「もうっ。」

「素直にくれれば、いいんだ。」


そんなこんなしているうちに映画が始まった。

馬鹿にしていた訳じゃないけれど、結構感動する…
思わず泣いてしまった。


ズビッ

(この音はもしや…)

隣に目を向けると、泣・い・て・る………


しかも号泣!?






―・―・―・―・―・―・―・―


「帝王の貫禄台無しだよ…」

「む…感動して涙を流すのに、男も女も関係ないぞ。」






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