本編
□チトセの燈
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「おっと、奇遇だね、長髪白髪君」
ゴーグルを首側に下げながら、軽くニールは言う。
「テロリストを追っててね。不信な魔力の力場があったから、ここで待ってたんだよ」
わざとらしく、テロリストを強調して言う。ウィズと会った時もだが、あのゴーグルには魔力を解析する機能が備えられているのだろうか。
それにしても。
煽るような言い方に、シロガネのこめかみがピクピクと動く。
「奴はわしの情報を買っただけじゃ」
ニールは一瞬、それが少年から発せられた言葉だと思わず、驚き仰け反るも、すぐに態勢を直した。
「情報?わざわざ空間を歪ませるような術まで使って?」
「お前みたいなメンドくさいのに聞かれると超メンドくさい話」
シロガネが不機嫌を込めて言うのを聞くと、ニールは、へぇ、と何か核心を持ったかのように言う。
「へぇ…メンドくさい話。こっちが困る話かな?」
「別に話してやってもいいんだぜ?お前がなーんにも思わなければ」
今言うつもりか、と少年が言う。いい機会だ荷担しろ、とシロガネは少年の頭に左手をのせ言う。
「へぇ、聞いてみたいものだね」
「おう、言ったな。耳かっぽじってよく聞けよ」
シロガネは音の術を込め、ニールには爆音に聴こえるようにして言う。
「テロリストを呼ぶような原因は、さっさと帰ってくれだとよ」