本編
□畏怖の神託者
10ページ/10ページ
「第一班はニールが率いて、ザナミと他、多数の魔粒子生命体を船に乗せ、突破口を開く。ニールが本国に着いたと連絡が入り次第、エスター率いる第二班が向かう」
「…えっと、ウィズさんは……」
「……好きに行動しろ、と、ニールがな」
リシアは何とも言えない気持ちになる。リーダーを任されたはずが、こうも除け者にされる。
元々無口であまり対人関係が得意そうでないウィズだ。リーダーとしての資質も、よくなかったのも確かなのだろう。
畏怖される涙の信託者であるから、というのもなきにしもあらず、だろうが。
「まともに戦ったことなどはない。戦力外に判断、だ」
「では、どうなされるおつもりで?」
アルバが言う。ウィズは改めてリシアたちに向き合い、話す。
「事前に通告した通り、アルムの調査に向かう。情報をまとめて港に向かっても、第二班には間に合うだろう」
成る程、とアルバは頷く。
「では、私はウィズさんの道案内と護衛に務めましょう。さて、リシアさんたちですが…」
「とはいっても、アルバさんが赤目のアルバさんのじゃないという証拠も掴めてません」
リシアがそういうと、シロガネも答える。
「どうせこいつらがさっさとサダルフォンに戻ってくれない限り、ハルワタートの港だって動かないんだ。最後まで付き合ってやるよ」
アルバは、感謝します、と頭を下げると、ウィズも同様に礼をする。右手の甲を額の右側に付け、頭を下げると言う、サダルフォン連邦国独自のものだが。