小説もどき置き場
□夏休み少年とバク
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「………………」
黒以外のないまっ黒。
「………………」
風も音もない。
黒。ブラック。黒一色の世界。
…………。
「…………っ長い長すぎる!!」
オレは思わず叫んだ。
この夢に来てからずいぶん時間がたったんだろうと思うのに、なのに風景が変わるわけでもなく、何かが現れるではなく、ましてや音すらない。
何か! これは一種のぞくに言う悪夢か!? てか悪夢ってもっとこう、バーって何かが現れて、うわぁぁあってうなされるもんじゃねぇのかよ!
「てか何もなさすぎだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……はぁー」
オレは大きなため息をついた。
「って。叫んだところで何もなんないのはわかっているけどさ、叫ばずにはいられねぇだろ……ここまで放置されていればさ……ははは」
むなしくオレの声が響く。
そしてまた。
しばらくの時が流れていった。
「………………ん――」
いや。なんていうかさ。夢なら夢でいいんだけどさ。せめてこの放置だけは、なんとかなんねぇかなー……。
「――――悪夢なら悪夢で、せめて。悪夢らしい悪夢を見せてくれよ」
はぁー、とため息をつき、オレは夢の中で寝ることにした。そして次の瞬間。
ゴドォォォオオン――……!!
大きな爆発音と共に、初めて足元の黒い空間が大きく揺れた。
ちょっ!? オレ今何かヤバイこと言っちまったのか!?
そしてそれにつらなるかのように、ガラスが割れるようなラップ音のような、耳を塞ぎたくなる破裂音がつらなった。
「くっ……!?」
オレは耐えきれず両耳を塞いだ
バリンバリンバリンバリンッ
と破裂音がだんだんと速さをまして近づいてくるのがわかった。
だがオレは逃げることもできず必死に耳を塞いでいた。そして。
パリィィィィン――――……
オレの横をかすめていった。
瞬間。足元が大きく歪んだ。
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