小説もどき置き場

□夏休み少年とバク
5ページ/9ページ

「………………」

 黒以外のないまっ黒。

「………………」

 風も音もない。

 黒。ブラック。黒一色の世界。

 …………。










「…………っ長い長すぎる!!」

 オレは思わず叫んだ。

 この夢に来てからずいぶん時間がたったんだろうと思うのに、なのに風景が変わるわけでもなく、何かが現れるではなく、ましてや音すらない。

 何か! これは一種のぞくに言う悪夢か!? てか悪夢ってもっとこう、バーって何かが現れて、うわぁぁあってうなされるもんじゃねぇのかよ!

「てか何もなさすぎだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……はぁー」

 オレは大きなため息をついた。

「って。叫んだところで何もなんないのはわかっているけどさ、叫ばずにはいられねぇだろ……ここまで放置されていればさ……ははは」

 むなしくオレの声が響く。

 そしてまた。

 しばらくの時が流れていった。


「………………ん――」
 
 いや。なんていうかさ。夢なら夢でいいんだけどさ。せめてこの放置だけは、なんとかなんねぇかなー……。

「――――悪夢なら悪夢で、せめて。悪夢らしい悪夢を見せてくれよ」

 はぁー、とため息をつき、オレは夢の中で寝ることにした。そして次の瞬間。


 ゴドォォォオオン――……!!


 大きな爆発音と共に、初めて足元の黒い空間が大きく揺れた。

 ちょっ!? オレ今何かヤバイこと言っちまったのか!?

 そしてそれにつらなるかのように、ガラスが割れるようなラップ音のような、耳を塞ぎたくなる破裂音がつらなった。

「くっ……!?」
 オレは耐えきれず両耳を塞いだ


 バリンバリンバリンバリンッ


 と破裂音がだんだんと速さをまして近づいてくるのがわかった。

 だがオレは逃げることもできず必死に耳を塞いでいた。そして。


 パリィィィィン――――……


 オレの横をかすめていった。

 瞬間。足元が大きく歪んだ。
 
 

 
 次へ 


 P 1 2 3 4 5 6 7 8


次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ